2019年度 ミズノスポーツメントール賞ゴールド、同ライター賞最優秀賞受賞者コメント発表

4月21日(火)グランドプリンスホテル新高輪で実施予定の「2019年度ミズノ スポーツメントール賞、同ライター賞表彰式」を、現下の新型コロナウィルス感染拡大状況に鑑み中止いたします。
つきましては、毎回表彰式でご披露いただいている、メントール賞 ゴールドおよびライター賞最優秀賞に輝かれたお二方の喜びの声をここに発表させていただきます。

【ミズノ スポーツメントール賞 ゴールド】
鈴木陽二氏
(日本水泳連盟/セントラルスポーツ株式会社 日本代表ヘッドコーチ又はコーチ)

この度、「ミズノスポーツメントール賞ゴールド」という栄誉ある賞を受賞したことを、まことに光栄に存じております。思えば選手の指導に携わってから半世紀近くが経ちました。その中で、多くの有望な選手達に出会い、指導に携わってくることができました。何より喜ばしいことは、指導した選手達が引退をし、社会に出た後も、様々な分野で素晴らしい活躍をしてくれているということです。私が、指導者として大切にしてきたことは、選手として優れているだけではなく「いかに優れた人間性を持った選手を育てるか」「いかに社会で活躍できる人材を育てるか」という点です。そして、現在ではスポーツ庁の鈴木大地長官を始め、多くの方々が素晴らしい活躍をしてくれています。これほど指導者冥利に尽きることはありません。
私が現在、指導をしている松元克央選手は自由形を専門種目としています。世界に目を向けると、競泳の競技レベルは常に目覚ましい勢いで発展しています。北島康介氏の活躍もあり、日本の競泳界も、オリンピックで世界と十分に渡り合える有力な選手が育ってきました。しかし、自由形においては、長年に渡り世界に水をあけられている種目です。そのような状況の中、昨年の7 月に韓国で開催された世界選手権の200m自由形で松元選手が銀メダルを獲得してくれました。オリンピック・世界選手権を通じて、日本人が同種目でメダルを獲得する のは、史上初のことです。私も、指導者として長年に渡り世界と勝負をしてきましたが、自由形という種目で世界と勝負ができること、そしてその 舞台が自国開催のオリンピックであることに非常に喜びを感じております。
今年は56 年ぶりに東京でオリンピックが開催される予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で、1 年延期となることが発表されました。このような時こそ、日本のスポーツ界が一致団結して、スポーツの真価を発揮していくことで、スポーツが社会に活力を、人々に勇気を与え、この難局を乗り越えていけると信じています。私も、この賞にふさわしいよう、今後も、世界に通用する選手の育成、そして、社会で活躍できる人材の育成に尽力していく所存です。

【ミズノ スポーツライター賞 最優秀賞】
山川 徹氏
『国境を越えたスクラム』-ラグビー日本代表になった外国人選手たち―(中央公論新社)

ライターとして、原稿料をはじめてもらってから今年で、ちょうど20 年になります。
私はラグビーファンだった祖父の影響で、高校時代にラグビー部の門をたたきました。花園に出場し、大学にもラグビー推薦 で進みました。ラグビーは、私に自信と自己肯定感を与えてく れました。また年齢を重ねるにつれ、チームのなかで生きる難しさや、才能の限界も教えてくれました。
卒業後、ライターを目指し、上京しました。当時、こんなことを考えていた覚えがあります。ラグビーに挫折してしまったからこそ、子どものころから好きだったノンフィクションに賭けるしかない、と。
とはいえ、すぐに食っていけるほど甘くはなく、書かせてもらえるのなら、とジャンルやギャラにこだわらずどんな仕事も引き受けました。そんななかで、雑誌や新聞にラグビーにかんする小さな記事を寄稿はしましたが、ラグビーとは意識的に距離を置いていた気がします。数少ない趣味だった旅と読書を生業の一部にしてしまったせいで、年に数度のラグビー観戦だけが、唯一の趣味になっていたからです。
そんな私が『国境を越えたスクラム』の取材に取りかかったのは、社会への反動でした。路上やネットで、海外にルーツを 持つ人たちへのヘイトスピーチを見聞きするたび、社会に根付きはじめた不寛容さ、差別意識に言いようもない居心地の悪さを感じました。だからこそ、日本人と海外出身者が調和するラグビー日本代表の歴史を記録し、魅力を描いてみたいと考えたのです。
私はラグビーに再会しました。体験的、感覚的に理解していたはずのラグビーの魅力を言語化する作業は、ラグビーが内包する多様性、寛容性を、そして私自身が惹かれたわけを、知る機会にもなりました。すべての事象は、社会を映し出す鏡である――いままで、そんな思いで自然災害や捕鯨、事件、人物などを取材してきました。私にとって、特別なテーマであるラグビーのノンフィクションで、それを少しでも証明できたとしたら、これほどうれしいことはありません。

19年度受賞者一覧はこちら
ミズノスポーツメントール賞受賞者[PDF:321KB]
ミズノスポーツライター賞受賞者[PDF:213KB]